こんにちは。文京区在住の歯科技工士、文京ライフです。
今回は、都内で借地権付きの戸建てを検討する際に、必ず一度は向き合うことになる「20年後の更新料」について書こうと思います。
郊外から都内への住み替えを考えるとき、物件価格の安さに惹かれて借地権を選択肢に入れる方は多いはずです。僕自身もその一人でした。しかし、所有権とは異なり、数十年単位で発生する「更新料」というコストについては、あらかじめ正確に把握しておく必要があります。
「いくらかかるかわからない」という状態が一番の不安を呼びます。そこで、文京区内の標準的な土地をモデルケースに、一般的に公表されている計算式を用いて、将来必要になるコストを具体的に算出してみました。
- 借地権の更新料を算出する「標準的な計算式」
- 文京区内・15坪/50平米モデルでの試算結果
- 225万円というコストをどう評価するか
- 毎月の積み立てに直すと「約9,400円」
- 土地の固定資産税がかからないメリット
- 教育費のピークアウトと重なるタイミング
- 数字が明確になれば「不安」は「準備」に変わる
- まとめ
借地権の更新料を算出する「標準的な計算式」
借地権の更新料は、契約内容にもよりますが、基本的にはその時の土地の評価額をベースに算出されます。ここでは、文京区内の住宅地(約50平米)を想定したモデルケースで、その計算プロセスを整理します。
まず、基準となるのは「路線価」です。これに公示価格との乖離を補正する倍率や、地域ごとの借地権割合を掛け合わせて、その土地の「借地権価格」を導き出します。
1. 土地の評価額(更地価格相当)の把握
まず、対象となる土地の路線価を確認します。 「路線価 × 公示価格相場率(1.25倍程度)」 これが、その土地の時価に近い評価額の目安となります。
2. 借地権価格の算出
次に、地域の借地権割合を掛けます。文京区の多くのエリアでは70%(C)に設定されています。 「評価額 × 借地権割合(70%)」 これで、自分の持ち分としての権利価格が見えてきます。
3. 更新料の算出
最後に、契約上の更新料率を掛け合わせます。都内の住宅地では「借地権価格の5〜8%程度」が一般的です。 「借地権価格 × 8%(更新料率)」
文京区内・15坪/50平米モデルでの試算結果
この計算式をあてはめると、現在の相場ベースで約225万円という数字が出てきました。 もちろん、20年後の地価が上昇していればこの金額も増えますし、逆に下がれば安くなります。しかし、「現時点での目安」として約225万円が必要になると把握しておくことは、資金計画において非常に重要です。
225万円というコストをどう評価するか
20年後に225万円。郊外の所有権物件に住んでいる感覚からすると、一見すると大きな出費に思えるかもしれません。しかし、40代・50代のパパとして家計を預かる身で冷静に分析してみると、別の側面が見えてきます。
毎月の積み立てに直すと「約9,400円」
225万円を20年間(240ヶ月)で準備すると考えると、月々の負担は約9,375円です。 これは、郊外の分譲マンションで支払う「管理費・修繕積立金」の増額分や、専用庭の維持費などと比較しても、決して突出して高い数字ではありません。むしろ、この程度の積み立てで都心の利便性を享受し続けられるのであれば、非常に現実的なランニングコストだと言えます。
土地の固定資産税がかからないメリット
忘れてはならないのが、借地権には「土地の固定資産税・都市計画税がかからない」という点です。 もし文京区で同じ広さの土地を所有権で持っていた場合、年間の固定資産税(土地分)は決して無視できない金額になります。20年間、その税金を払い続けるコストを積み上げれば、更新料の225万円は十分に賄える、あるいはそれ以上にお得になるケースも少なくありません。
教育費のピークアウトと重なるタイミング
僕の場合、20年後には子供たちも社会人になり、一番の重荷である教育費負担がなくなっています。 「子供が小さいうちは教育環境の良い都心に住み、教育費が終わったタイミングで住まいの更新料を払う」 このキャッシュフローの組み立ては、子育て世代のパパにとっては非常に合理的な戦略ではないかと考えています。
数字が明確になれば「不安」は「準備」に変わる
住み替えを検討していると、どうしても「借地権=自分のものにならない」「更新料=取られるお金」というネガティブなイメージが先行しがちです。
しかし、歯科技工の仕事と同じで、正確な設計図(計算式)があれば、将来の仕上がりを予測することができます。 根拠のない不安に振り回されるのではなく、公表されている数字をもとに淡々とシミュレーションを行うこと。それが、納得感のある住み替えへの近道です。
もし、今のあなたが「郊外の家を売って都内に住みたいけれど、将来のコストが不安」と感じているなら、まずは検討エリアの路線価をチェックし、この計算式に当てはめてみてください。
「わからない」という霧が晴れれば、あとはその数字をどう準備するかという、至極前向きな議論に進めるはずです。
まとめ
20年後の更新料、約225万円。 これを「高い」と切り捨てるか、「計画的に準備可能なコスト」と捉えるか。その判断が、都心での暮らしを手に入れられるかどうかの分かれ道になります。
僕は、この数字を把握した上で、文京区での暮らしを選びました。 通勤時間を大幅に短縮し、子供たちに最高の教育環境を与え、自分自身のマインドセットも変えることができた。その対価として考えれば、この更新料は十分に納得できるものです。
大切なのは、感情ではなく数字で判断すること。 まずは、いまのご自宅がいくらで売れるのか、そして都内へ移った場合の維持費がどうなるのか。その資産の棚卸しから始めてみることをおすすめします。
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